大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

キリストの降誕

ハンス・バルドゥング・グリーンは1484/85年に生まれ、1500年頃ストラスブールに出て、ショーンガウアーの伝統を引く画家のアトリエで徒弟生活を送ったと考えられている。1503年頃、ニュルンベルクのデューラーの工房を訪ねてその弟子になった。1506年まで弟子仲間のクルムバッハらとともに木版画挿絵やステンドグラスの下絵などを制作して、デューラーからの強い影響を受けている。1509年にストラスブールに戻り、翌年同市の画家組合に親方として登録された。1512年から5年間フライブルクで聖堂に大作の祭壇画を描き、その後ストラスブールに戻って、1545年に死を迎えるまで活動した。
中央の太い柱が支えるアーチの奥に廃墟の内部が描かれている。小天使らに囲まれ、白い布の上に横たえられている嬰児キリストから発せられる光で、マリア、ヨセフ、アーチの外のロバや牛まで浮かび上がっている。左上の空には大きな輝く星、マリアの背後の窓からは、羊飼いに近づく光の中にお告げの天使がみられる。柱の台座にモノグラム HBG と1520年の年記がある。廃墟の壁上部が明るすぎるようにも感じる。

世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
ハンス・バルドゥング・グリーン
キリストの降誕
1520年 板 油彩
105.5×70.4cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク